今回はこちらの本の感想を綴っていきたいと思います。
この本は加藤積一(かとうせきいち)さんという東京都立川市にある幼稚園の園長先生が書かれたものです。
ふじようちえんとは
立川市にある昭和記念公園にほど近い場所に存在する幼稚園「ふじようちえん」は私の自宅がある武蔵村山市からも近いため以前から存在は知っていました。
不思議な形状をした園舎となっており、実際に見て頂くとビジュアル的にもインパクトを持つ幼稚園なのですが、ビジュアルだけでなくその中で起きている様々なエピソードが散りばめられた内容となっています。
著書でも紹介されていますがモンテッソーリ教育であったり英語教育を取り入れて子供たちの豊かな心の成長に力を注いでいる幼稚園です。
本のあらすじ
本の構成は5章からなっています。ここでは簡単ではありますが章ごとの内容について触れたいと思います。1章は園舎がどのように生まれたか、デザイナーの佐藤可士和さん、建築家の手塚さん夫妻との運命的な出会いからこの園舎にかける思いが綴られています。
子供たち一人一人が大切な存在であるように園舎や設備すべてが意図をもって作られている事が良くわかる内容となっています。
建築家の手塚さんは「TED Talk」という世界の著名な方がスピーチを行うイベントにおいてこの幼稚園のエピソードを紹介しています。
下記の動画で紹介されていますのでこちらも是非ご覧ください。
この動画からもわかるように子供たちがとっても楽しそうに幼稚園生活を過ごしているのがお分かりになると思います。
2章と3章は、幼稚園における教育の核となっているモンテッソーリ教育の部分と、幼稚園における様々な取り組みを取り上げています。
私の子供たちが通った幼稚園においてもモンテッソーリ教育を取り入れていたのですが、
恥ずかしながら何となく子供の教育メソッドの一つなんだなという位でしか考えていませんでした。
この本を通してモンテッソーリの目指しているもの、創始者でありマリア・モンテッソーリさんの子供の無限の可能性を信じる姿勢を感じ取る事が出来ました。
モンテッソーリは子供たちの自己教育力という力を引き出す原則ではありますが原則に沿いながら独自のアイデアでアップデートしていくところが最も価値があると感じますし、それを実践している様子が良く描かれています。
モンテッソーリ教育について
https://sainou.or.jp/montessori/about-montessori/
4章では子育てに奮闘している保護者に向けたアドバイスが紹介されており、特にお母さん方に向けたエールのように感じました。
特に「子育てに正解はない」という子を持つ親にとって本当にこれは深く理解していけないと思います。
また、こうあるべきだと固定的な考えに囚われると子供たちの伸びようとしている長所の芽を潰す事にもなりかねない、この事はこれからの子育てにも大いに活かしていきたいと思える内容です。
5章は幼稚園で働く先生たちにフォーカスし、先生たち自身も明るい未来、組織と個人がWinWinの関係を築いている様子であったり、最後は園長先生が目指す夢、素敵な未来を語っています。
園児だけでなく先生たちに寄り添い、先生たちの幸せな未来を想像して運営されている姿に、全ての組織が見習うべきだなと感じました。
心を暖かく、やさしくさせてくれる言葉で溢れている
この本と出会ったきっかけを作ってくれたのは妻でした。
妻が子供たちの絵本とともに図書館で借りてきたものでしたが、ちょっと気になって手にしたところあっという間に引き込まれてしまい不思議な魅力を纏っているようでした。
著者の加藤園長先生をはじめ幼稚園全体が子供ファーストでありハッピーな未来を描き続けている姿に大いに心が揺さぶられました。
本の最後に描かれたふじようちえんの理念 |
子供ファーストでありながら決して甘えさせているわけではなく、自立して物事に対処する力を育んでおられる様子を強く感じましたし、何事も便利な社会になっているからこそ不便さ、不自由さを体験させる事で、不自由さをどうやって取り除くかを子供たち自身で考えさせる、想像させるという点も非常に共感しました。
著者である加藤園長先生も園児たち、保護者、スタッフ、地域住民に常に寄り添った取り組み、活動をされている事に深い感銘を受けましたし、これまでの当たり前や慣習などに囚われる事なく、様々なアイデアを形にしている姿もとても素晴らしいものでした。
読んでいると目から鱗が落ちるような取り組みや、心がぽっと温かくなるようなエピソードが随所に散りばめてありました。
ここでは書ききれない素晴らしいエピソードが沢山詰まっていますが、最後に印象に残った言葉をご紹介したいと思います。
森信三さんという有名な教育者の言葉を引用したものですが、「人間は一生のうち逢うべき人に必ず逢える。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに」という言葉です。
人だけでなくこのような本、言葉も出会うべくして出会うのだなと改めて感じました。
我が家には子供が3人いますが、末っ子が幼稚園の年長を迎えており、私たちがお世話になった幼稚園もとても素晴らしい思い出深い場所ですが、ふじようちえんのような幼稚園が増えたら素敵だなーと純粋に思いましたし、小さいお子様を持つ方は是非こうした取り組みを知って頂けたら幸いです。
次回投稿はこの本と同時期に出会ったまた別の1冊をご紹介したいと思います。
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