●de:code とは
日本マイクロソフトが毎年開催している、開発者・IT技術者に向けた有償のテックイベントとなります。イベントページ
https://www.microsoft.com/ja-jp/events/decode/2019/default.aspx
Microsoftが提供する最新テクノロジの情報が盛りだくさんのイベントです。
私もこのイベントには毎年参加させて頂いているのですが、今回は吉藤オリィさんのスペシャルセッションとして参加されるのを知ってこちらに参加しましたので雰囲気だけでも皆さんにシェアしたいと思います。
※写真撮影はNGとの事したので文章のみとなっております。
※一部正確性に欠けていたり取り留めの無い文章となってしまってるかもしれませんがご容赦ください。。
●「心の車いす」が寂しさ、孤独から解放される!
「分身ロボット Orihime が目指す”会いたい人に会えて、社会に参加出来る未来”」と題してMicrosoftの井上章さんと吉藤オリィさんとの対談形式で行われました。井上さんが吉藤さんと出会ったのはMicrosoftが提供するソリューション「Azure Cognitive Services 」を紹介したのがきっかけとの事でした。そして吉藤さんの著書「サイボーグ時代」にも深い感銘を受けたそうです。
そんな井上さんからの挨拶のあと、吉藤さんの自己紹介からのスタートとなりました。
吉藤さんの本名である「健太朗」という名前は、親が健やかで太って朗らかにということを願って名づけられたがその真逆の人生を歩んできてしまったと冗談交じりにおっしゃってて会場は一気に和やかになった感じでした。
吉藤さんは自身の体調が弱かったという事もあり車椅子にとても興味を抱いていたそうです。ただ車いすというとパイプ椅子に車輪を付けただけのかっこ悪いイメージしかなかったと。
そこでもっとかっこいい車いすを造ってしまおうという事でオープンカーのような車椅子を作成したり、その後視線操作の車いすやこたつ付き車いす、ニンテンドースイッチで操作できる車いすなどを紹介されておりました。
ごく最近ではALSという体を一切動かせず眼球のみしか動かす事の出来ない患者さん、しかも呼吸器付きの専用の車いすでなければ生活出来ない方向けに視線操作で動かせる台車タイプの車いすを5日ほどの期間で新たに作り上げた。
既に吉藤さんがSNSにシェアされていますのでご存知の方も多いかと思いますが台車タイプの車いすを作ったことによって10年以上自分の意思で車いすを操作する事が出来なかった方が自分の意思で思いのままに操作する体験が出来た。
吉藤さんのは「心の車いす」という言葉もおっしゃっていたのもとても印象深く感じました。
吉藤さんご自身も不登校を経験されていますが現在不登校者数は14万人にも上るそうです。不登校だけでなく病気によって病院に長期入院している患者さんであったり高齢者の方は「寂しさ、孤独感」に苛まれてしまう。
この世界は身体至上主義ともいうべき状態であり身体の不自由さからくる孤独を解消したい。その一方で現代社会は多様性を許容する事が広まりつつある。
●Orihimeが世界を繋ぐ
今回のセッションではOrihimeパイロットの三好史子(みよしふみこ)さんも参加されておりOrihimeを通して三好さんの声を会場で聴く事も出来ました。三好さんは島根県に住む24歳で、SMA(脊髄性筋萎縮症)を発症し電動車椅子での生活をされています。三好さんはOrihimeと出会った事で友人や知人とつながりが出来、とても世界が広がったとおっしゃってました。
Orihimeの開発経緯は9年前。当時はAIじゃないのに研究する意味があるのかといったような批判にさらされた時代もあったそうです。そんななか早稲田大学の1研究室から始まった活動が現在のオリィ研究所へとつながっています。
吉藤さん著書を読まれた方はご存知かと思いますが、Orihime開発には番田さんの存在が非常に大きかったし、吉藤さん自身にとっても大きな存在でした。
番田さんの生前語っていた様子を伝える当時の動画が会場で流され、その中でロボット中心ではなく人中心でいたいという事を強く訴えていました。
Orihimeが外の世界とつながる事によって、あたかもそこにいるかのような体験を共有する事が出来ます。それは実際に会いたいという動機も生み出してくれるものとなります。
吉藤さんの核、ビジョンとして一貫しているのは「テクノロジーによって不可能を可能にすること」が最優先事項となっていると感じました。ローテクやハイテクにこだわる必要はなく、何を実現したいのかという事が最も重要だと。
●Orihimeのその先
現在、肢体不自由を抱える人たちの就労率は5%という状態となっている。就労だけでなくパーティ、イベントなど人が集う場所では何かしらの物理的な行動が発生する。たとえば何か重いものを持つことを手伝ってあげるなど、肉体労働的な貢献が必要となってくる。
そうした肉体労働を可能にするために開発されたのがOrihime-Dという人型のデバイス。Orihimeがコミュニケーションデバイスといった形だが、Orihime-Dは身長120cmほどで物を運んだりする事が出来る。
このOrihime-Dを利用して分身ロボットカフェを10日間に渡って試験的に実施された。
実際に参加された三好さんも「カフェで働けるとは思いもしなかった」と語っていました。
また、ここでも当時の動画が流れていましたが、ALS患者である高野元さんの接客時の嬉しそうな表情が何とも胸を打つシーンでした。
今後の活動として現在進行形である合成音声のクラウドファンディング「ALS SAVE VOICE」やボディシェアリング「NIN_NIN」(Orihimeに似たデバイスを通して視覚障碍者とALS患者とがお互いの障害を補完しあう仕組み)が紹介されておりました。
●最後に
対談中は上記以外にも吉藤さんのコスチュームである黒い白衣の仕掛け(携帯、タブレット、スイカ入れ、手袋、傘まで飛び出てくる)や白衣にまつわるエピソードを語ってらして、会場も笑いが飛び交っていたそんな和やかな雰囲気でした。また、これまでの取り組みを紹介されている度に参加者が「へぇー!」「すごーい!!」と反応させているのを見て、私自身も初めて吉藤さんの活動を知った時の衝撃が蘇っていました。
これからも吉藤さんのテクノロジーで不可能を可能に変える取り組みを微力ではありますが応援していきたいと思います。
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