2018年9月17日月曜日

Microsoft Japan Partner Conference 2018 参加しました(その2)

今回は「Microsoft Japan Partner Conference 2018 参加しました(その2)」となります。

前回は基調講演の様子をお伝えしましたが、今回私が参加した個別のブレイクアウトセッション
についてお伝えしたいと思います。

●前回の補足

ちょっとその前に前回の基調講演の記事で補足したいというか、とても知ってほしい内容があり
ましたのでそちらをお伝えしたいと思います。

それは、「AI for Accessiblility」というMicrosoft の取り組みです。


AIを活用することによって障害を持つ方に対する障壁をなくす取り組みです。

基調講演では「Seeing AI」といったスマホカメラをかざすとカメラに映った人、物、文字を読み
上げて教えてくれるアプリなどを紹介しておりました。

私もこのSeeing AIが公開されてすぐに試してみたのですが、子供を向けると「〇〇歳の女の子が
います」といった形で説明してくれます。

どのようなものかはこちらの動画をご覧いただければと思います。


下記は2016年にSeeing AI のプロトタイプとして紹介された時ですが、こちらの動画は非常に
心に響いたことを覚えています。



このような目の不自由な方をエンパワーする取り組みをもっともっと広めてほしいと願ううと
同時に私たちもこうした活動に取り組んでいきたいと強く思いました!


●ブレイクアウトセッション

今回のブレイクアウトセッションのタイムスケジュールですがランチセッション含めて全部で
4コマの時間割となっていました。

1コマあたり45分のセッションとなり、参加者は関心のあるセッションを自由に選択して受講
できます。

基本的に事前予約などはなく先着順となるため、人気のあるセッションはすぐに満席となって
しまう状況です。

今回私がピックアップしたセッションは以下となります。

・J-1 AIをインパクトにつなげる Spark Beyond
・I-2 電子カルテシステム Opt.one、Azureで実現する歯科業界初のAI型治療計画支援システム
・H-4マイクロソフトの Azure オープン ソース戦略とパートナー エコシステム

それでは順番にセッションの内容を共有したいと思います。

※お断り:前回同様となりますが、セッション内容に関して正確性に欠ける内容も含まれるかもしれませんが、その点は予めご了承頂けたらと思います。

内容に関して補足するコメント等ありましたらフィードバック頂けますとありがたいです。

・J-1 AIをインパクトにつなげる Spark Beyond

Spark Beyond社Arun Poojari氏による英語でのパートナーセッション(通訳なし)となります。













Spark Beyondは、AIを利用して様々なデータから精度の高いインサイト、リサーチを提供
するイスラエルの会社となります。

SparkBeyondは自動化されたリサーチエンジンを構築しており、データの複雑なパターンを
発見することができます。
 























デモとしてタイタニックの生存者に関して、AI分析によって予測されるデータを披露して
いました。

米国における納税額の予測を、Zipコードを入力するだけでその地域で必要となる税金支出を
予測するというものもありました。

導入事例としてロンドンの小売店の新規立地に関する予測などに活用されているそうです。


日本における実績はまだ無いようなのですが、今回のイベントを機に協業を検討するパートナー
企業が増えるかもしれませんね。

 ・I-2電子カルテシステム Opt.one、Azureで実現する歯科業界初のAI型治療計画支援システム

歯科業界で電子カルテシステムを展開しているオプテック社と協業パートナーのクレスコ様に
よるパートナーセッションとなります。

前半はオプテック社が手掛けるOpt.oneとよばれる電子カルテシステムの紹介となります。

歯科業界のカルテシステムで、約3000程の歯科医院に採用されており年間純増で300社程度の
伸長率との事。

歯科業界での高度な診療スキルが必要となるため、新たにAI分析機能によってキーワード入力
により予測される病名や投薬方法など歯科医師を支援するシステムを提供している。

デモではAI分析による支援の様子が披露されておりました。

後半は、AI分析機能を開発したクレスコ様からAI分析の開発基盤としてAzure を採用した経緯
を説明されておりました。



クレスコ様の話によればどちらかというとIBM Watsonに注力されていたそうですが、今回の
要件では、LUISといったAzure で提供されるCognitive Serviceが最適だったそうです。






















またAzureの知識が乏しかったが、MS主催のHackasonに参加しMSの知見をもとに開発を進め
られたことが大きな収穫だったそうです。


●ハイブリッドクラウド研究会のブースにお邪魔しました

午後の2セッションが終わって、少々集中力が切れかけになったところでリフレッシュも兼ねて
私も参加させて頂いている「ハイブリッドクラウド研究会」のブースにお伺いしました。

今年のPartner of the year を獲得されたJBS様が主幹事をされているコミュニティ活動です。

JBS胡田さん(写真右端)が研究会をリードしており、私の所属する会社もこのコミュニティに
参加しています。
 
コミュニティではクラウドの導入スタイルやユースケースを体系化したハイブリッドガイド
ラインの策定に注力しています。
 
今回のイベントでは、ハイブリッドクラウド研究会をより多くの方に認知頂けるように研究会
独自で出展させて頂きました。

説明員を担当されたJBS胡田さんをはじめ、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ米津
さん、Microsoft高添さんが立ち寄る参加者に熱心に説明されておりました。

私もコミュニティメンバーとしてより一層頑張っていきたいです!

・H-4マイクロソフトの Azure オープン ソース戦略とパートナー エコシステム

カンファレンス最後のセッションは、Azure を活用してOSS開発をリードしている
下記のパートナー2社によるパネルディスカッションとなりました。

モデレーターとして日本MS社のOSS開発リードの坂田様が進行されておりました。
 
冒頭は坂田さんからMicrosoftのオープンソースに対する取り組みを紹介していました。

Microsoft本社の サティア・ナデラ CEOが「Microsoft ♥ Linux(Open Source)」と
いう
メッセージを2014年に打ち出したが、現在は「Microsoft + OSS」の構図は当たり
前と
なってきた。

先日のGithub買収が話題となったが、オープンソースのカルチャーをしっかり継承している。

特にKubernetesなどは、Co-Founderや開発の第1人者にJoin頂き、非常に力を注いでいる分野
となっているそうです。

坂田さんからの解説が終わり、ここからパートナー2社による説明が続きます。

 ・クリエーションライン
会社代表の安田様よる会社概要などを説明頂きました。
 
クリエーションラインは、今年度の
「Open Source Applications & Infrastructure on Azure」カテゴリのパートナーAwardを
受賞されております。
 
OSS開発をメイン業務とされており、ChefやAnsibleなども構成管理ツールはもちろん
Docker、Kubernetesに注力されています。

Kubernetesに関しては、国内でも数える程度しか存在しない認定パートナーとして活動されて
いるそうです。

MS社とのパートナー関係の歴史は浅いようですが、MSのオープンソースに対する姿勢に共感
され、関係を強化されているようです。

Azure でのOSS開発事例としては、デンソー様の開発環境を開発された事例や電通様との
デジタルサイネージを共同開発なども手掛けておられます。

・オルターブース
会社代表小島様による会社概要を説明頂きました。

クリエーションライン様と同様にOSS開発に非常に強みを持たれている会社です。

本拠地は福岡との事ですが、

つまらない世界からお客様を解放させ、もっと刺激のある世界へ変化させよう!

という信念のもと、様々な開発にチャレンジされているとの事です。

自社サービスとしてもマイクロサービスアーキテクチャに特化したプラットフォームサービス
「KOSMISCH(コーズミッシュ)」などを提供しています。

クリエーションライン様が受賞されたAwardの昨年度受賞者がオルターブース様という事で、
お互いをリスペクトしているように感じました。

小島様個人も Microsoft MVP を受賞されており、また企業としてもInnovation Awardと別の
Awardも受賞されているそうです。

Azure 事例として紹介されたのは、有機野菜のデリバリーで成長されている
「オイシックス・ラ・大地株式会社」の事例でした。

Azure Functionsを利用して管理のフットプリントを最小化しつつ、クラウドのメリットを
最大限に活用されていました。

 ・3者によるフリートーク
オルターブースさんもクリエーションラインさんも口を揃えて言っていたのは、開発を進める
上でMSが実施している「Hackason」に参加した事が非常に有用だったという事です。

Hackasonはアプリケーション開発の集中講座といった形でMSエンジニアが顧客やパートナー
と一緒になって開発を進めていく取り組みです。

Hackasonを通じて、開発手法を学びながら一気にシステムを作り上げる事でお互いのスキル
向上につながっているそうです。

●まとめ

今回のイベントを通して強く感じた事は、Microsoft社がパートナーに寄り添った活動に注力
していると感じました。

日本MS社の顔である平野社長が基調講演でも触れていましたが、MS営業部門のKPIとして
パートナーのソリューションの共同販売目標も指標となっているとの事で、パートナーと
共に歩いていく姿勢を前面に出しておりました。

こうした動きの根底にあるのはMSの掲げるミッションが浸透していると感じました。

また日本国内No1のクラウドを目標に掲げており、この動きは更に活発になると期待していま
すので、今後の動向に目が離せないですね!

セッション終了後は懇親会に参加させて頂き、テーブルでご一緒させて頂いた他の参加者さんと
交流を図ることが出来ました。

また来年も是非参加したいと思います!

 


2018年9月4日火曜日

Microsoft Japan Partner Conference 2018 参加しました(その1)

今回は、8/31(金)に開催されたMicrosoft社主催のパートナー向けカンファレンスに
参加した模様をお伝えしたいと思います。

●イベント概要
日本マイクロソフト社が主催するパートナー企業向け年次カンファレンスとなります。

日本マイクロソフト社(以下、日本MS社)の会計年度(Fiscal Year)は、7月から始まります。

この時期に組織改変も行われるため、1年間の活動振り返りと新体制のお披露目、そして
今後一年間のビジョンやミッションを共有する場となっております。

グローバルでは一足先に「Microsoft Inspire」とよばれるパートナーカンファレンスが
実施されますが、そこで発表された最新情報をキャッチアップする事が出来ます。

また、このカンファレンスは無償イベントとなっており、パートナー企業だけでなく
パートナー制度に関心を持つ企業に向けたオープンなイベントとなっています。

無償イベントではありますが、カンファレンス終了後には懇親会も用意されていて
お酒を交わしながら参加企業間での交流を図れるようになってます。

●イベントの雰囲気
私の所属する会社もパートナー企業として活動していますので、このイベントには
毎回参加させて頂いてます。

会場となるプリンスパークタワーは、ここ数年、日本MS社の年次イベントは
この会場で開催されているようです。

このカンファレンス以外に有償の年次イベントにも積極的に参加させて頂く機会を
頂いており、ある程度勝手知ったる場所ではあります。

昼食ですが、参加者にはランチセッションという形でお茶とお弁当を無償で提供
頂けております。

会場はきれいな場所ではあるのですが、年々参加者も増えているようでちょっと
手狭な感じがしてしまいます。

※お断り:以降の記述に関しては記憶が曖昧な部分もあり、正確性に欠ける内容も
あるかもしれませんが、その点は予めご了承頂けたらと思います。

●キーノート(基調講演)
日本MS社でパートナービジネスをリードしている高橋美波さんのオープニングで幕を
開けました。


そして、本社でパートナービジネスのCVP(Cooperate Vice President)である
ガブリエラ・シュースターさんによるプレゼンです。




マイクロソフトの動向にお詳しい方であればご存知かもしれませんが冒頭で紹介した
グローバルのパートナーカンファレンス「Microsoft Inspire」の基調講演においても
登壇されていた方です。

Inspire における彼女の基調講演はライブストリーミングで拝見していましたが
今回実際にガブリエラさんの姿を間近に見ると、彼女の立ち居振る舞いといい
英語もほどよいスピードと丁寧な語り口調がとても聞きやすかったです。


上記のように日本に配慮したメッセージであったり、ホンダ、トヨタといった日本
メーカーの車を所有してきたという愛車遍歴のエピソードなども披露されていて、
親近感が持てて良かったです。

内容としては日本のイノベーションする力を非常に評価して頂いており、2020年の
オリンピックに向けて、ビジネス機会とワークスタイルに変革をもたらす事を強く
語っておられました。

続いて登壇したのは、平野拓也社長です。

冒頭にパートナーへの感謝の意を述べるとともに、Partner of the year Awardsの
発表がされておりました。

今年度のWinnerは「ジャパンビジネスシステムズ(JBS)」様でした。

JBSさんは、日本MS社と長年パートナーとして非常に固い絆で結ばれてるなと改めて
感じました。







色々と数字の発表がありましたが、こちらの記事にサマリーが記載されてますのでこちらも
併せてご確認頂ければと思います。



その後、AI活用事例浜松ホトニクス様や近畿大学様の先進的な事例が紹介されました。












その他、日本MS社とパートナーによる協業ソリューションの紹介がいくつか紹介されて
いましたが特に印象に残ったのはRinna Character Platform」でした。

感情の部分も含めてソーシャルなAIチャットボットを目指す取り組みは素晴らしいと
思いました。


ゲスト登壇者としては、

その後はゲスト登壇者が出演し、以下の事例が紹介されておりました。
※()内はパートナー様
 ・本田技研様 EveryGo (JBS様) https://everygo.honda.co.jp/

J:COM様 (ドリーム・アーツ様)
 https://www.dreamarts.co.jp/news/media-coverage/mc180502-2/

 ・日本航空様 (エルテス) SNS炎上予防保全のマネジメントサービス

 ・産官学連携 農業データプラットフォーム(ネクストスケープ、慶応義塾大学)
 https://wagri.net/


キーノートの最後を締めくくるのは、エバンジェリスト西脇さんによるデモを交えた
プレゼンです。

アジェンダをTo-Doアプリにてサラッと紹介するところ始めるというスマートな演出!
このTo-Doに沿ってプレゼンが進んでいきます。

トピックとしては本邦初公開となるAI Cameraによるデモ。

ディープラーニングの部分はGoogle ニューラルネットワークを利用しているそうですが、実行環境はDockerとの事。もちろんDockerであればAzure上で問題なく利用可能に。


猫とラジコンを利用したHololensとMicrosoft Teamsのコラボレーション!
猫ちゃんがキーノートに出てくるなんてたぶん初めてなんじゃないかと(笑)



Whiteboard 機能で、PCとスマホでのリアルタイム同期の様子を披露。

セッションの後半は、Windows Server 2008/ SQL Server 2008 EOS(End of Support)に言及。

Azure 移行することによって3年間のサポート延長が可能となる点をアピール。

最後は、元号変更に関する日本MSのロードマップと備えなど2020年に向けた考慮事項で締めくくった内容となりました。



今回の投稿はキーノートのみとなりますが、次回は私が受講したブレイクアウトセッションの様子をお伝えしたいと思います。